段差があるのには理由がある
駐車場が道路に面していて駐車場と道路との間に10センチくらいの段差があることはよくあります。
ブログ主の賃貸物件にも前の道路との間にも10センチの段差があります。これは道路際に敷設されるL形コンクリートの標準品の立ち上がり部分が10センチあるのでL形コンクリートが一般に使われている以上段差があるのが当たり前になります。
なぜ10センチの立ち上がりがあるかといえば雨水やゴミが道路の外に飛び散ることを防護するためでしょう。つまり理由があって敷地と道路の間に段差が設けられています。
ところが車で出入する場合にはこの段差は不都合なものでしかありません。この段差があるためスムーズに車庫入れができないからです。
そこで多くの方がこの段差を解消するために段差スロープを道路に置いたり、車が出入する部分を道路面に合わせるための切り下げ工事をします。
前者は道路法違反ですが皆んながやっていることであり、また特に咎められることもないのでかなり一般的にやられています。しかし万が一事故が起これば置いた当人は責任をとらなければなりません。
後者はもっとも望ましい問題解決法です。しかし手間と時間とお金がかかります。
車入れ(バック駐車)で段差が障害になるのは前輪が越えるときだけ
車庫入れはほとんどの方がバックで入ると思います。バックで道路から10センチの段差のある車庫入れをするとわかりますが、後輪は比較的スムーズに段差を越えることができます。しかしゆっくり車をバックしていて前輪が段差にかかると車は止まってしまいます。段差を越えるためにはアクセルを踏んで勢いをつけます。しかしそのままだと車は背後の壁などにぶつかってしまう危険性があるので前輪が段差を超えたらすぐにブレーキを踏まなければなりません。
後輪は段差を楽に越えられるに前輪はそうはいかない。なぜでしょう? 今の車はほとんど前輪駆動だからです。後輪駆動ならその逆で前輪より後輪の方が段差を越えるのが難しくなります。また4輪駆動なら10センチ程度の段差ならスムーズに車庫入れできる筈です(後輪駆動も4輪駆動も試したことはありませんが)。
後輪が段差に差し掛かったときは前輪が車を後ろに押してくれるのでその力で段差を難なく越えることができます。しかし前輪が段差に差し掛かったときは自らの力で越えるしかありません。そのとき前輪のタイヤの車庫寄り部分の一点は段差の上端角と接し(A)、もう一点は道路面(B)と接しています。道路面を蹴って後方に動こうとする力BはAに阻まれるので後方に進むにはBにより大きな推進力をかける必要があります。一方後輪が段差をこえるときは前輪のBの推進力を阻害するものが何もないのでエンジンを強くふかす必要がないのです。
段差のある車庫入れに段差スロープや切り下げ工事は不要
背後の壁までスペースに余裕のない状況で段差を越えるためにアクセルをふかせるのにはストレスがかかります。前輪が段差を越えたら間髪を入れず車を止めなければならないからです。そうしなければ壁に衝突してしまうからです。段差スロープや切り下げ工事なしでストレスを感じずにスムーズに車庫入れする方法はないのでしょうか?
結論からいうとただ簡単な運転操作だけで問題解決できます。
前輪が段差に接触し止まった状態から段差を越えるには強力な推進力が必要になるのでアクセルをふかせます。
しかし車が後方に向かって動いているその慣性力の助けを借りれば10センチ位の段差であればその慣性力で段差を越えることができます。
運転操作としては後輪が段差を越え次に前輪が段差にかかった状態で一端車を止めます。
そしてそこから前進して前輪のタイヤが段差から1メートル位離れるまで進んで停止します。
そしてギヤをバックに入れ、踏んでいたブレーキペダルから足を離します。車はゆっくりと後退します。
ただその状態を維持するだけで前輪は段差を越えていきます。
普通乗用車の場合車の最前面と前輪タイヤの中心点との間隔は1メートルほどです。段差にタイヤが接触したとき車は道路に1メートルほど飛び出た状態です。そこから1メートル前に出るわけですが道路幅4メートルでも充分余裕があります。
この運転操作をまとめると以下のようになります(AT車の場合)。
➀ 直角駐車の要領で段差ラインに対して前輪が平行になるように車の向きを調整しながら後輪から段差を越し、前輪が段差に接触したら一旦止まります。
② ギヤをドライブに入れ、1メートル位前進してブレーキを踏んで止まります。もし前輪が段差ラインに対して平行になっていなければ切り返してをして車体の向きを正します。段差ラインに対して前輪が平行ということは、そのまま後退すれば車庫に真っ直ぐ入れる車体の向きです。
③ ギヤをバックに入れブ押さえつけていたブレーキペダルから力を抜きブレーキを浮かせます。足は浮いたブレーキペダルの上に置いたままです。すると車はゆっくり後進しその慣性力の助けで段差を越えます。前輪が段差を越したらブレーキをゆっくりと踏みます。アスセルを踏むことはありません。
コチラから動画で見れます。
あとは通常の車庫入れと同じです。ブレーキを細かく踏みながらスピードを更に落として定位置に停車します。簡単ですね。
この運転操作による問題解決の何よりのメリットは法律違反をしないで済むということです。それとお金がかからないということです。
なおブレーキを浮かせて動きだす慣性力の大きさには個々の車によって多少の違いがあると思います。車によっては段差から1メートル離れずとも問題なく乗り越えられるかも知れません。車によっては1メートル以上離れないとうまく越えられないかも知れません。段差からどれ位離れるのがベストかは実際に試して自分なりの距離感を掴むようにしていただきたいと思います。
ハンドルを切りながら道路へ出る
車庫に入るとき前輪は段差と平行にして車庫のスペースの向きに対して真っ直ぐ入りました。このとき前輪の両輪は同時に段差を越すことになります。しかし道路に出るときは曲がりながら出るほうが段差を降りるときの衝撃はより小さくなります。真っ直ぐ出ると両輪が同時に段差に降りるのでドスンという感じになってしまいます。曲がりながら出ると前輪は片方づつ道路に降りることになるので衝撃はより小さくなります。