駐車場の床面と道路面との間には10センチ位の段差があるのは珍しくありません。段差があると車をスムーズに車庫入れができないので段差解消スロープ(以下スロープと言います)が広く使われています。

しかしこれは道路法違反だそうです。知っていましたか?

 私もつい最近まで知りませんでした。道路は公共施設であり公共施設の上に勝手にモノを設置できない、と言われてみれば確かにそうだとは思います。実際に道路縁に置かれたスロープにオートバイがスロープの側面に当たって転倒する事故があったそうです。このスロープが原因であることは明らかですからこのスロープを置いた当人の過失責任を認める判例があるそうです。

 私は最近賃貸用ガレージを新築したのですがこの話を知るまではガレージと前面道路との段差の問題はスロープをおけば良いと簡単に考えてました。しかしそれが法律違反だと知って、考えが変わりました。事故はどんな偶然で起こるかも知れません。スロープが原因で予想もできない事故が起きないともかぎりません。そのときどんな責任を負わされるかわからないと知ればやはり慎重にならざるを得ません。

 一応はあります。切り下げ工事をすることです。道路の縁の段差を削り敷地側のレベルをそれに合わせるという工事です。しかしこの切り下げ工事は最初から本体の外構工事のときに計画してやらない限り現実的でありません。道路は公共物ですから管轄する役所からの許可をとらなければなりません。
 許可が下りたら敷地側の既存のコンクリートやアスファルトを剥がし、段差の元になっているL型ブロックを低いものに取り換えなければなりません。そして敷地側を元に戻すためにコンクリートやアスファルトの打設工事を行います。どう考えても最初の土間コン工事などの倍以上の費用がかかりそうです。その前に請け負ってくれる業者を探すのも大変かもしれません。今回私の場合外構工事が終わってまだ2カ月も経っていないのでこれは選択肢になりえません。建てる前にスロープは法律違反と知っていれば切り下げ工事を検討したと思いますが。

 車庫入れはほとんどの方がバックで入ると思います。私も同じです。バックで道路から10センチの段差のある車庫入れをするとわかりますが、後輪は比較的スムーズに段差を越えることができます。しかしゆっくり車をバックしていて前輪が段差にかかると車は止まってしまいます。段差を越えるためにはアクセルを踏んで勢いをつけます。しかしそのままだと車は背後の壁などにぶつかってしまう危険性があるので前輪が段差を超えたらすぐにブレーキを踏む必要があります。難しくはありませんがストレスを感じてしまいます。

 後輪は段差を楽に越えられるに前輪はそうはいかない。理由は今の車はほとんど前輪駆動だからです。後輪駆動ならその逆で前輪より後輪の方が段差を越えるのが難しくなります。また4輪駆動なら10センチ程度の段差ならスムーズに車庫入れできる筈です(後輪駆動も4輪駆動も試したことはありませんが)。

 後輪が段差に差し掛かったときは前輪が車を後ろに押してくれるのでその力で段差を難なく越えることができます。しかし前輪が段差に差し掛かったときは自らの力で越えるしかありません。そのとき前輪のタイヤの車庫寄り部分の一点は段差の上端角と接し(A)、もう一点は道路面(B)と接しています。道路面を蹴って後方に動こうとする力BはAに阻まれるので後方に進むにはBにより大きな推進力が必要になります。一方後輪が段差をこえるときは前輪のBの推進力を阻害するものが何もないのでエンジンを強くふかす必要がないのです。

 段差スロープなしでよりスムーズに段差を越える方法とは、アクセルをふかせないで段差を越える運転操作です。アクセルを踏まないでよりスムーズに段差を越える方法です。
 前輪が段差に接触し止まった状態から段差を越えるにはアクセルをふかせて生じる推進力の助けがいります。しかし車が後方に向かって動いているその慣性力の助けを借りれば10センチ位の段差であればアクセルを踏むことなく段差を乗り越えることができます。運転操作としては後輪が段差を越え次に前輪が段差にかかった状態で一端車を止めます。そしてそこから前進して前輪のタイヤが段差から1メートル位離れるまで進んで停止します。そしてギヤをバックに入れ、踏んでいたブレーキペダルから足を離します。車はゆっくりと後退し、その状態を維持するだけで前輪は段差を越えていきます。普通乗用車の場合車の最前面と前輪タイヤの中心点との間隔は1メートルほどです。段差にタイヤが接触したとき車は道路に1メートルほど飛び出た状態です。そこから1メートル前に出るわけですが道路幅4メートルでも充分余裕があります。

段差スロープなしでよりスムーズに段差を越える方法は以下のようになります(AT車の場合)。

➀ 直角駐車の要領で段差ラインに対して前輪が平行になるように車の向きを調整しながら後輪から段差を越し、前輪が段差に接触したら一旦止まります。

② ギヤをドライブに入れ、1メートル位前進してブレーキを踏んで止まります。もし前輪が段差ラインに対して平行になっていなければ切り返してをして車体の向きを正します。段差ラインに対して前輪が平行ということは、そのまま後退すれば車庫に真っ直ぐ入れる車体の向きです。

③  ギヤをバックに入れ踏んでいたブレーキペダルから足を離します。すると車はゆっくり後進しその慣性力の助けで段差を越えます。アクセルは踏みません。

あとは通常の車庫入れと同じです。ブレーキを細かく踏みながらスピードを更に落として定位置に停車します。簡単ですね。
この運転操作による問題解決の何よりのメリットは法律違反をしないで済むということです。それとお金がかからないということです。
なおブレーキを踏んで静止したところからブレーキを離しただけの状態の推進力には個々の車によって多少の違いがあると思います。車によっては段差から1メートル離れずとも問題なく乗り越えられるかも知れません。また車によっては1メートル以上離れたほうが確実に越えられるかも知れません。段差からどれ位離れるのがベストかは実際に試して自分なりの距離感を掴むようにお願いします。

コチラから動画で見れます。

 前々項の冒頭で述べたようなストレスをなぜ感じるのでしょうか?
ブログ主の自宅の駐車場は6メートル幅の道路に面しており道路際には10センチの高さのあるブロックが敷設されています。その10センチのレベルに合わせて駐車場はコンクリート舗装されています。直角駐車で車庫入れするとき後輪が段差を越し前輪が段差に当たってそのままアクセルを踏んで段差を越そうとするとき車のお尻とコンクリート壁との間隔は1.5メートル強になります。車の全長4.3メートルでそのとき道路に1メートル突き出ているので5-〔4.3-1〕=1.7メートルです。つまりそのまま行ったら1.5メートルほどで壁にぶつかる状況でアクセルをふかせるのがストレスです。壁にぶつからないようにするためには段差を越えたらすぐブレーキをかけるという瞬時に2つの動作をなさねばならないことがストレスです。
 前項の運転操作によればこの2つのストレスから解放されることになります。アクセルを踏む必要がなくなり、ただブレーキを踏むという1つの動作だけすれば良いからです。ストレスを感じずに段差を越えることがすなわち段差をスムーズに越えるということになると思います。

 車庫に入るとき前輪は段差と平行にして車庫のスペースの向きに対して真っ直ぐ入りました。このとき前輪の両輪は同時に段差を越すことになります。しかし道路に出るときは曲がりながら出るほうが段差を降りるときの衝撃はより小さくなります。真っ直ぐ出ると両輪が同時に段差に降りるのでドスンという感じになってしまいます。曲がりながら出ると前輪は片方づつ道路に降りることになるので衝撃はより小さくなります。

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